【報告】3/16 防災・減災推進研修 事例発表会

当団体も講師を務めている横浜市の防災・減災推進研修。その事例発表会が、保土ヶ谷公会堂にて開催されました。

今回はフジテレビの協力により、後半は取材による被災地の実態や課題をテーマにしたディスカッションという二部構成で、司会はフジテレビアナウンサーの木村拓也氏が務めました。

防災・減災推進研修とは
町の防災組織(自治会・町内会等)において、防災・減災活動の担い手を育成し、地域の防災・減災活動を推進してもらうことを目的とした横浜市主催の防災研修で講義やグループワークを実施。


第一部:自治会が登壇しての事例発表会
3つの自治会・町内会が防災の取り組みを発表しました。

まちづくり協議会@西区

白タオルによる安否確認訓練、防災ウォークラリー、保存水の備蓄、地元小学校と連携してまち探検や防災授業の実施、町内会ごとに防災井戸の設置といった取り組みを行っています。小学生と一緒に防災活動を行っている稀有な事例です。学校との関係をどのように築いたのかとても興味をそそられる内容でした。

町内会@栄区

居住者がカードにかかれた5つの避難先から選択するという、ユニークな安否確認を行なっているそうです。その他、スタンドパイプを使用した本格的な消火訓練や要支援者を参加者に加えた防災訓練も実施しています。車椅子で参加する要支援者を加えた防災訓練はとても素晴らしい取り組みです。参加者に障がい者の方への心配りの気持ちも芽生えますし、より実践的な訓練ですね。

戸建て+マンションの自治会@瀬谷区

役員向け・居住者向けの防災訓練と防災講習、マンション管理組合との協議会の設立、カタログギフトを使用した居住者への防災備蓄の推進を行っています。自助の促進に力を入れていて、カタログギフトを使用した居住者への備蓄推進のアイディアはとても面白いです。具体的なやり方をぜひ伺いたいと思いました。


第二部:地域の防災ディスカッション

パネルディスカッションでは、当団体代表の伊藤朋子と当団体でマンション防災の講師として活動している後藤浩司講師がパネラーを務めました。今回、後藤講師はマンション防災アドバイザーとしての登壇です。

能登半島地震レポート

フジテレビ情報政策局の滝氏による能登半島地震レポート。やはりトイレ・下水道が被災者にとって大きな負担になっているとのこと。備えが大事、そしてどう備えるか大きな課題ですね。災害が起きるたびにトイレや下水道は大きな問題となりますが、様々な事情で大きく取り上げての放送は難しいらしく、報道人としての葛藤も垣間見えました。

また横浜市危機管理室地域防災課からも、横浜市がどのような支援活動を行なったかという報告もありました。横浜市は支援に行かれた職員から聞き取った内容を基に、横浜市への提言をまとめ、課題への対応を検討するそうです。これはぜひ各区で報告会を実施していただけると学びと備えにつながるのではないかと思います。

311事例から考える避難所運営、要援護者への対応

東日本大震災で3人で避難所を開設した観光地にある町内会から、限られた人数で受入可能人数以上の避難者に少人数で対応する難しさ、想定外のことばかりが同時多発的に起きるという実体験を聴けました。また、要援護者の立場として視覚障害者福祉協会の方による視覚障害という立場からの訴えは、今後の要援護者への対応と課題について非常に有効な内容でした。

在宅避難とマンション防災

最後のテーマは「在宅避難とマンション防災」。熊本地震を機にマンション防災への関心は年々高まっていますし、当団体にもマンションからの問い合わせや研修依頼が増えています。

伊藤代表や後藤講師から家庭でできる防災で在宅避難を可能にする、地域と関わることで情報と物資への対応を可能にするというアドバイスがありました。また多くの自治会・町内会で役員の高齢化、防災訓練参加者の高齢化が課題となっていますが、若い世代・働く世代をどう巻き込んでいくか、そして行政も被災するということを念頭において公助が入るまで自分たちでどう対応するかなど「地域の防災」について多く語られました。


事例発表会には150名以上の方にご参加いただきました。各自治会の事例発表やパネルディスカッションの内容を、ご自分の住んでいる町や地域に置き換えていかに防災力を高めるか。能登半島地震もあり防災への意識・関心が高まっている今、自助力、地域の人との連携、情報収集や発信など自分事として考えるとても良い機会になったかと思います。

また発災直後の対応に注目が集まりがちですが、復興に至るまでの長期的な視点も必要です。ぜひみなさん一人ひとりが考えて、意見交換をして、いざという時のために備え、対応できる強い防災力を培っていただければと願っています。

認定NPO法人かながわ311ネットワークをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む