養成講座2回目からは、いよいよグループワークが始まります。
今回はDIGを体験していただきました。DIGとは「災害想像ゲーム」を表す英単語の頭文字を組み合わせた語句で、「ディグ」と読みます。
講師の説明の後、5~6名のグループで横浜駅・みなとみらい地区を中心とした地図に、災害後に想定される被害を項目ごとに色分けすることで、どこにどのような被害が考えられるのかを視覚化できるようにします。しかし、黙々と作業するのではなく相談したり意見を述べたりとコミュニケーションを取っていくことも大事なねらいになります。
講師講話、グループワーク、まとめと発表の3部形式で実施しました。

まず講師講話を30分ほど聞きました。かつて横浜で起きた大地震での被害、特に関東大震災では東京を上回る被害を受けたことを映像で確認しました。さらに今後横浜市で起きるかもしれないと考えられる4つの地震のタイプを知り、その時にどんな被害状況が考えられるのかを阪神淡路大震災・東日本大震災・能登半島沖地震などと照らし合わせながら想像しました。
休憩をはさんで、いよいよグループワークです。まずは、鉄道・高速道路・川や海岸線・広域避難所などを指示通りに色分けしたり、主要な場所にシールを貼ったりして、基本情報を書き込んでいきます。

次に、「想定震度」「津波浸水」「液状化」「洪水・内水氾濫」「土砂災害」などの被害項目ごとに想定されるエリアを色で塗り分けました。複合災害を受けるエリアが多いので地図にビニールシートをかぶせ、その上を着色していきます。

限られた時間の中で、どんどん作業を進めていかなければならないのがDIGの難しいところ。時間をカウントしている講師からも声がかかります。
しかし、ただ時間に追われて焦って未消化に終わるのではなく、限られた時間を有効に使い、仲間とともに気づいたことを出し合いながら進めることは意味のあることです。参加者からはこんな声が聞かれました。
・埋め立て地は液状化してしまう。100年以上前に埋め立てしている場所は液状化対策していないから、グジュグジュになるかもね。(吉田新田などはアウトか?)
・みなとみらい地区は液状化などの被害想定がみられないのはなぜだろう。
・浸水区域は川に沿ってあるね。県庁のあるところは浸水しないように造られているのかもね。
・平面の地図もいいけれども立体のものがあると、子どもにはわかりやすいね。
一通り作業が終わったところで、次は『作成した地図を見ながら考える』作業です。気づいたことを付箋に書くよう指示があると、賑やかだった室内が一転静寂に包まれました。

書き出した後は各自の意見をグループ内で共有し、まとめていきます。
・地図をみると白い部分(被害が無いところ)がほとんどないことに気づいた。
・人の集まるスポット(オフィス街や観光地、商業地域など)は極めて危険である。
・川沿いは津波が遡上するので危険だと気づいた。
など、互いに発表しまとめていきました。さらに講師から横浜市の古地図が回され、それと作成した地図を照らし合わせると地形の変化から災害の原因をたどることができました。
最後はグループごとに、各参加者の気づきを『横浜の中心部』『津波・浸水』『土砂災害の危険』など、複数のテーマに分類していき意見をまとめました。その後、4グループの代表者にそれぞれ発表してもらいました。

・「水」を中心とした災害を考え、避難場所は?日々の防災は?というテーマにまとめた。
・横浜の中心部は安全な箇所が少ないが、みなとみらい地区は相当地下深く掘って地盤を固めているので液状化に強いという訳なのだろう。
・東日本大震災でも経験したが、交通手段分断が分断されることを想定して、水やモバイルバッテリーの常時携帯などは本当に必要だと痛感した。
・人口集中する場所の不安、夜間での不安、海あり山ありの観光地ではあるが、不安要素を抱えていても仕方ないので、日頃の備えをしっかりやるしかない。
・今回のグループワークでは互いに助け合い、補い合うことができた。コミュニケーションの大切さを実感した。
・地図・ハザードマップで確認しておくことの大切さがわかった。日頃からのイマジネーションは大事。
このような意見がまとめとして各グループから出されました。
最後に講師から、2019年に地図に追記された『横浜公園の自然災害伝承碑』が紹介されました。東日本大震災後、今まで埋もれていた災害関連の伝承遺跡を掘り起こしてマッピングする取り組みが行われているそうです。身近な地域の伝承や歴史を振り返ってみるよい機会だと思います。
初めてのグループワークでしたが、受講者の皆さんは真剣かつ手早くワークに取り組んでいて意識の高さを感じました。防災教育ファシリテーターは子どもたちに講話や作業の手順を伝える側です。
子どもたちに上手にコミュニケーションを取ることや意見交換すること、そして作業そのものを楽しんでもらうためには、自分自身がまず「楽しむ姿勢」でいること、これを今後も大切にしていきたいと感じました。
(報告記事:近藤悦子)
■講座概要■
講座名:防災教育ファシリテーター養成講座<初級編17期>
日時 :2025年7月12日(土)09:30-12:30
会場 :かながわ県民センター11階 講義室
参加者:23人
講師 :池田陽一
サポート:防災教育ファシリテーター 鵜野朋子 小田川太 小林由美 熊切多津江 近藤悦子 角川京子 森山栄治 山田美貴 涌田亮一
統括 :石田真実

