大きな災害にあい、またはその場で活動することで、からだや気持ちに様々な変化(ストレス反応)が起こることがあります。これらの反応は、直接災害に関わったときだけでなく、被災された方から間接的にさまざまな災害体験を聞くことによっても生じることがあります。
あらわれ方や強さは人によって異なりますが、誰にでも起こります。この変化は、傷ついた体や心が回復しようとするときに起こるもので、異常な状況の中で起こる 「正常な反応」です。これは「惨事ストレス」と呼ばれるストレス反応の一部です。
普通、これらの反応は、時間とともに消えていきますが、時にその状態が長く続き、ふだんの生活や仕事、学業に支障をきたす場合には、カウンセリングや治療の助けをかりて改善できることがあります。
災害や事故で活動された皆さんに現われやすい反応は、以下のようなものです。(※以下のような反応が出ても、それはあなたが「弱い」からではありません)
災害に何らかの立場で触れた人には誰にでも起こる反応なのです。
- 興奮状態が続く
興奮状態が続き、寝つけず気持ちが落ち着かなかったという反応はよく見られます。とくに「自分は役に立たなかったのではないか」などの自分を責める気持ち、「早く、また現場に行かなければ!」というあせりなどが起こりやすくなります。
- 体験を思い出す
折に触れ、現場のことを思い出し、フラッシュバック(突然とても鮮明に現場の情景や人の言葉が思い出されたり、夢に見たりする現象)が起こることがあります。
- 思い出すことを避けようとする
現場で起こったことについて、人に聞かれることも、思い出すこともわずらわしくなることがあります。記憶があいまいになったり、現場に関する報道を見たくなくなったりすることもあります。
- 身体の不調
眠れなくなったり、頭痛や肩こり、めまいなどが出ることがあります。疲れやすく、仕事や学業に集中できなくなった方もいます。
- 周囲との摩擦
周囲の人に対して、ふだんなら感じないような不満や怒りが急に出てきたり、人に対する信頼感が急にわいてきたり、逆に極度の人間不信におちいることもあります。
- 話せなくなる
自宅に帰ると、現場のことを話せる人がまわりにいない、話してもわかってもらえないかもと思って、無理に胸にしまい込み、孤立感にとらわれる方もいます。
こうした惨事ストレスを軽減するために、効果があるのは以下のようなことです。
- まずは帰宅後、ゆっくり休養をとってください(活動中にもマメに休息をとります)。興奮状態が続いているので「休めない」という気持ちになりがちです。けれども、心もからだも、本人が自覚しないうちに疲れがたまっています。まずは休養をとってください。あまりに寝られないようであれば、医師に相談することも有効です。
- 親しい方と一緒にすごして下さい。家族がいらっしゃる方はご家族と、恋人や友人がいらっしゃる方は恋人やご友人と、ともに過ごす時間をとってください。ご家族やご友人は皆さんのことを気づかい心配しています。その方たちと何気なく一緒にすごすことで、だいぶ安心でき、気が休まります。ご家族が被災地から帰ってきたら今度は皆さんが寄り添ってあげてください。
- 少し活動が落ち着いたら、一緒に活動してきた仲間と話し合う機会を作って下さい。現場で起こったことや感じたことなどを、仲間と話し合ってください。その後も、折りに触れ、一緒に活動した仲間と話をし、励ましたり、支え合ったりすることが大切です。
- 今回の災害では報道が長く続くと予想されます。現場や帰宅当初は何のストレスも感じていなかった方でも、報道を見ているうちにストレスを感じることがあります。徐々に辛さを感じてきたら、カウンセラーに頼ったり、地域の保健センターなども活用しましょう。
〇参考文献・WEBサイト(一部加工・転載)
- 文献
- 『まあるい地球のボランティア・キーワード145』(日本ボランティア社会研究所)
- WEBサイト
- 『病気の話・病気辞典・病気』(十文字学園女子大学)
- 『感染症情報センター』(国立感染症研究所)
- 『腰痛ナビ』(サニー・デイ)
- 『大塚製薬ホームページ』 『遠野まごころネット』他、ボランティア関連サイト
- 『災害ボランティアの惨事ストレス プチガイド』(一部加工・転載)
監修:
岡野谷 純 NPO法人日本ファーストエイドソサェティ
松井 豊 筑波大学人間総合科学研究科
協力:災害援助研究会(堀洋元ほか)
- 『水害ボランティア作業マニュアル』(一部加工・転載)
発行:レスキューストックヤード、日本財団
協力:全国社会福祉協議会、全国ボランティア活動振興センター