【報告】11/25防災教育ファシリテーター養成講座<上級編第3期>第3回逃げ地図+材木座地区まち歩き

2018年11月25日(土)は、防災教育ファシリテーター養成講座上級編の第3回。午前中は材木座地区のまち歩きを行い、午後は(逃げ地図(避難地形時間地図)の作成を行うという一日がかりの講座開催でした。
お忙しい中、明治大学. 理工学部 教授の山本俊哉先生、株式会社日建設計出向時に逃げ地図づくりを現在の形にするのに尽力されたセコム株式会社の井上雅子様も参加してくださいました。

材木座自治連合会では、逃げ地図づくりをきっかけに、大津波からの一時避難を考え、住民の方たちが率先して避難路を整備されました。
今年度も材木座自治連合会の小野里様をはじめ皆様にご協力いただき、まち歩きの案内をしていただきました。

最初は実相寺裏手の経路。自治会の皆様が整備された避難路があります。どのような経緯で整備したのか等、材木座自治連合会の方にお話を伺いました。登っていくと、昔、お社があったという小さな広場に出ます。そんなに広いスペースではありませんが、高さは十分でしょう。この後はたぶの木公園への下り坂でした。立派なたぶの木があります。もちろんたぶの木公園側から登ることもできます。
      

  

次の避難経路までの途中で、津波避難ビルに指定されているマンションを見たり、途中から暗渠となっている水路を確認しました。海から近いので水路を遡ってくるであろう津波にも警戒しなければなりません。
  

次は光明寺の横の道を案内していただきました。以前、東京都北区の保養所利用者のために作られた海への近道だったそうです。保養所がなくなってからは埋もれていたそうですが、これも住民の皆様が整備されたとのこと。道幅は狭く坂が急ですが、コンクリートで舗装されているので、車いすでも何とか押して広場まで上がれる!?一人だと少し難しいかもしれませんが。登りきると、元保養所の広場へと行きつきました。かなりの広さがあります。
    

広場の近くには展望台があり、海まで見渡すことができました。富士山も正面に見えました。
津波を逃れて高台に避難した時、海の様子が見えるのはとても重要です。ここで記念撮影。
  

元保養所のあった広場から避難所指定されている鎌倉市立第一中学校まではすぐでした。防災備蓄物資も備えられています。
第一中学校は、毎年1年生が逃げ地図づくりを行い、地域のことを学びます。東日本大震災で大きな被害のあった宮城県気仙沼市立階上中学校との交流も震災後に始められ、現在も続いています。

生徒たちの通学路となっている道を下りました。途中、崩れている箇所もあり、子どもたちのためにも住民のためにも整備してほしいですね。
 

鎌倉は大地震に見舞われると最短8分で最大14mほどの津波がくると想定されています。(地震の規模によって異なります)。多くの観光客も訪れる地ですが、大地震に見舞われた時の対応を知っていると安心ですね。
材木座自治連合会の方からは、一時避難場所までのルートマップは各地区ごとに作成され、該当地区の各戸に配布されていると伺いました。「地元住民が率先避難者となり、観光客はそれを見て一緒に逃げてほしい。」とのことです。

自治会館に戻り、山本俊哉先生から「逃げ地図づくりの経緯と活用方策」のお話を伺いました。逃げ地図は、住民自らが作成することで「安全のための話をする」ツールになります。最初は津波からの避難のために活用されていましたが、今では、土砂災害に対しても活用されています。
  

山本先生は午後は別件があり、お帰りになりましたが、お昼を食べながらさらにお話を伺うという貴重な時間となりました。

午後は、会館の2階で逃げ地図づくりです。午前中に歩いたエリアをメインにして、どのような地形だったかとか、海までの距離も実感しながらの作業となりました。井上さんにレクチャーしていただきつつ取り組み、初級編で逃げ地図づくりの体験をしていることで、より一層理解が深まりました。実際に指導するときにもきっと役に立ちます。
  

今回、まち歩きを行うことの大切さ、逃げ地図づくりを行うことで地域のぜい弱性が可視化できることを確認できました。
今年で3年連続で材木座自治連合会の皆様にお世話になりました。この地域のすごいところは、住民の多くが「自分たちでできることは自分たちでやろう」という意識を持っているところだと思います。
最初に案内していただいた避難路は住民の皆さんの手作りで、廃材のブロックや角材が使用されていました。行政にお願いしたのは、手すりの設置と津波避難路という標識のみ。年に1回の避難路の清掃活動は年々参加者が増えているとのことでした。
山本俊哉先生、井上雅子様、材木座自治連合会の皆様、お世話になりました。改めてこの場を借りて御礼申し上げます。

【参加者の声】
・初級の時から時間があいていたので、最初の色塗りで間違えてしまった。 歩いて見て、いろいろな危険な個所が多いことを、ここで初めて知りました。午前中歩きながら話をしていただきました先生・スタッフの皆さん、そして、今日は学ばせていただきまして1日ありがとうございました。
・初級編では山の避難道は写真でしか見ることができませんでしたが、今回は実際に歩いてみて、要支援者は特に実用が難しいと感じました。それを踏まえて午後の避難ビルの位置を考えてみたので、実際に今後逃げ地図を実施するときには、地元でも改めて街歩きをし、イメージをふくらませやすくした状態で逃げ地図を実施したいと思いました。
・災害、防犯などいろいろなことに利用できると思いました。この回だけでなく、全ての基本は地元の歴史、地理を理解するのが大切だと思いました。
・参加の皆さんの意識が高く、さすが!!でした。 逃げ地図ワークショップを地元中学生が毎年行い、意識付けと実際の避難ルート改善に活かしている材木座の皆さんの取り組みも素晴らしいと思いました。 逃げ地図は地元町内会ですぐに使うのは難しいとは思いますが、要素を頂きつつ、何らか役立てることができれば、と考えています。

■講座概要■
講座名:ファシリテーター養成講座<上級編>第3回 逃げ地図+材木座地区まち歩き
日時 :平成30年11月25日(土) 10:00~16:00
会場 :鎌倉市 材木座地区・材木座自治会館
参加者:15人
講師 :明治大学理工学部 教授・山本俊哉先生、逃げ地図づくりプロジェクト・井上雅子様
サポート:防災教育ファシリテーター 谷本、矢嶋、西川
【エリア】鶴見、葉山、鎌倉