【報告】2/24 防災教育フォーラム&東北未来カフェ

2018年2月24日、(株)富士通エフサス イノベーション&フューチャーセンターにて、防災教育フォーラム&東北未来カフェを開催しました。
防災教育フォーラムでは、各学校や教育委員会での取り組みの発表や、パネルディスカッションでの課題共有、防災教育を実施した効果などをお話しました。
東北未来カフェでは、岩手県大船渡市出身の三上さんと金野さんをゲストにお迎えし、3.11当時のことや学生時代に受けていた防災教育について、現在首都圏に暮らしていて感じていることなどをお話していただきました。

【防災教育フォーラム】
<パネルディスカッション>~学校等での実践事例発表~
(1)横浜市立一本松小学校6年生 総合的な学習の時間を利用した、DIGやHUGの取り組み
 
 総合的な学習の時間のテーマを「防災」と決めて、「はまっ子未来カンパニープロジェクト」にエントリーし、1年間様々な取り組みをしてきました。地域防災拠点訓練への参加、防災マップ作りとまち歩き、避難所運営ゲームHUG、防災すごろく作り、簡単防災ずきん作りなど、多岐にわたる内容を地域の方と一緒に協力して取り組んでいるのが素晴らしい!「中学生になっても地域の一員として頑張りたい」という言葉に感動しました。

(2)横浜市立桜台小学校 地域防災拠点訓練と連携した防災教育の取り組み

 地域防災拠点訓練と連携した防災教育の取り組み[/caption]昨年度からコンサルタント的に関わらせていただいた学校です。様々な提案の中から、運動会ので防災種目と、地域防災拠点訓練と連携した防災学習の日に取り組みました。防災学習の日には4年生5年生で保護者と一緒にDIGを実施しました。民間校長ならではのご苦労もあったようですが、「やってよかった」という感想が多くあったようです。

(3)横浜市立北綱島小学校 特別支援学級での取り組み

 東日本大震災直後から、熱心に防災教育に取り組んでいる学校です。防災教育を学校全体のカリキュラムマネジメントの一つの軸として捉え、体系的に取り組まれています。そんな中、支援級の担当の先生から相談があり「防災サーキット運動」をご紹介しました。実際の授業では私が紹介した内容以上のものになっていて、「学校の先生はやはり、少しヒントをあげるだけでどんどんアイデアを膨らませられる人たちなんだな」と実感しました。

(4)川崎市立東高津小学校 職員研修でのHUGや地域と連携した訓練

 川崎市の学校からの初めてのご依頼でした。多摩川からほど近い距離にあり、2011年に校舎の改築が完了したばかり、冷暖房完備のきれいな学校です。川崎市の研究指定を受けて昨年度から防災教育を研究してきました。児童用非常袋(1日分の食料)を各家庭で用意してもらい学校に保管したり、地域の訓練に参加したりしてきました。2年目の今年は「学校が避難所になったらどんなことが起こるか」を体験するためHUGの研修をしました。職員室の雰囲気がとてもあたたかく、お話しているとこちらも自然と笑顔になるような、ホッとできる雰囲気の先生方でした。

(5)綾瀬市教育委員会 職員研修でのクロスロードや各校での訓練の工夫

 綾瀬市は神奈川県の中心部にあり、電車の駅が一つもないことで有名な市です。厚木基地があるため外国籍の児童生徒が多く在籍しています。当然、先生方は車通勤。3.11の時は大渋滞で大変だったようです。教育委員会として学校で取り組む防災教育をどうサポートできるかという視点でのお話でした。

(6)横浜市立平楽中学校 3年生学年全体でのHUGの取り組み

 毎年、5月の国際学習の際に2年生の1クラスでHUGをやって、今年で5回目。今年はそれに加えて3年生学年全体でHUGに取り組みました。先生から溢れ出す熱い想いを思う存分語っていただきました。2年生の時に体験した生徒が、前回の学びを活かし、様々な工夫が見られました。繰り返し取り組むことで学習が定着することを証明してくれた、今回の取り組みでした。

<講演>
 昨年に引き続き、森本先生にお越しいただきました。『釜石の奇跡』と言われ注目を集めた、震災前に実施していた防災教育の内容や、現在大学で行っている、当時の学習の検証についてお話いただきました。先生が力を入れて取り組んだことと生徒の印象に残っていることが全く違う!?体験的な学習や、生徒が主体的に自分たちで考えて取り組んだことが、学習効果が高いことが分かってきました。

森本 晋也准教授
岩手大学大学院教育学研究科地域防災研究センター

【東北未来カフェ】
< NPO法人JAMネットワークの東北支援活動報告>
 これまで首都圏で活動している「ことばキャンプ」と、東北のNPO法人ビーンズふくしまをおつなぎしました。ことばキャンプを運営するNPO法人JAMネットワークによれば、東北でハードの面では整備が整いつつある中ソフトの面(心のケア)についての支援が必要とされていることを知り、「ことばキャンプ」のプログラム提供を通してコミュニケーション育成の一助になれればとのことでした。発表してくれた子どもたちの生き生きとした笑顔と、お父さんお母さんからの温かなフィードバックがとても印象的でした。
   

<パネルディスカッション>~東北出身の若者の声を聞く~
 震災当時高校1年生で大船渡出身の三上莉奈さん、金野道子さんをゲストにお招きし、当時のことや、現在首都圏で仕事をしていて感じるギャップなどについてお話を伺いました。お二人とも、「将来的には故郷に帰って、地元で働く」と話してくれました。
 

【懇親会】
 少しばかりですが、東北からお酒とおつまみをお取り寄せし、参加者・発表者・スタッフごちゃまぜで交流を深めました。
   

合間の休憩時間に、集合写真をパチリ。
発表してくれたみなさん、ご来場のみなさん、運営スタッフのみなさん、ありがとうございました!!
また来年もこの時期にやりたいと思います。

■イベント概要■
日時 :2018 年2月24日(土) 13:00~19:00
会場 :株式会社富士通エフサス イノベーション&フューチャーセンター
参加者:70人 
主 催:認定NPO法人かながわ311ネットワーク
協 力:株式会社富士通エフサス イノベーション&フューチャーセンター、NPO法人JAMネットワーク、NPO法人ビーンズふくしま、陸前高田市 子育て支援 おやこの広場 きらりんきっず、パーソナルサポートセンター花巻ママハウス
助 成: (一社)神奈川県建築安全協会、独立行政法人福祉医療機構 
講 師:岩手大学大学院教育学研究科 地域防災研究センター 森本晋也准教授 講師プロフィール
発表校:横浜市立一本松小学校、横浜市立桜台小学校、横浜市立北綱島小学校、川崎市立東高津小学校、綾瀬市教育委員会、横浜市立平楽中学校
発表団体:NPO法人JAMネットワーク、NPO法人ビーンズふくしま「みんなの家@ふくしま」
ゲスト:三上莉奈さん、金野道子さん(大船渡出身、高校1年生で震災を経験)