2017年8月29日(火)、30日(水)、横浜市教育委員会からのご依頼で、学校安全研修として避難所運営ゲーム「HUG」体験を行いました。避難所に見立てた平面図に避難者(カード)を適切に配置、避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかを模擬体験するゲームです。
横浜市立学校は508校、各学校の安全担当の先生対象の研修です。教育事務所の管轄ごとに、29日は東部と西部、30日は南部と北部に分かれ、1日2コマ2日間で4コマの研修でした。1コマあたり約130人ということで、防災教育ファシリテーターも総出で、1人で2班を担当するという初の試みでした。
5~10名のグループに分かれ、まずは「避難所〇×クイズ」。ほぼ全員正解の問題もありました。
避難所のイメージを持ってもらうために、阪神淡路大震災から熊本地震までの避難所の写真を比較し、工夫されている点を見つけます。さらに「全壊・半壊」という言葉や、各災害の特徴を写真でイメージ共有しました。ゲームの条件設定を説明し、いよいよ体験開始です。
1~15番までのカードで、避難所運営のルールを決め、その後は読み手はノンストップでカード(避難者情報)を読み上げていきます。
今回は時間が限られていたので15分程度でタイムアップ。250枚のカードのうち半分程度で終了しました。その後、グループごとにワークシートを利用して、何に困ったか?配置のルールは?自分の班のアピールポイント等をまとめ、隣の班と情報交換も行いました。
短時間の体験ではありましたが、さすが先生方。初対面同士でも良いチームワークで取り組んでいました。随所に工夫も見られました。
横浜市では地域防災拠点である市立の小・中学校等458箇所を指定避難所に指定し、防災備蓄庫の設置、防災資機材・食料等の備蓄を進めています。実際に避難所開設となった場合、避難所運営は地域住民が協力して行うことになっているので、先生が直接関わることは少ないかもしれません。しかし、児童・生徒が在校時に避難所を開設することになったら、先生が避難所運営の一端を担うことも十分考えられます。
また、対応に困ったこととして、トイレの問題が多くあげられました。横浜市は「災害用ハマッコトイレ」の整備も進められています。避難所がどのような状況になるかを知っておくことは、学校再開を考える上でも必要なことではないでしょうか。
「今の子どもたちは、未曾有の災害を経験し、復興させる世代です。」
教育委員会の方のあいさつにあったように、子どもたちが仮に大きな災害に遭ったとしても、苦難を乗り越え「生き抜いていく力」を身につけてほしいと私たちは願って、この活動を続けています。
【ワークシートより自班のアピールポイント】
・ツアー客を男女別にまとめた。アレルギーの配慮。地区別避難スペースにした。
・掲示板に色分け、見やすく。リーダー中心に相談、解決できた。
・基本を体育館にとどめたこと。(教室をあまり使っていない)。学校再開を考えて。
・ホワイトボードに記録する際に具体的な日付を記入したこと。
【参加者の声】
・今日は忙しかったが、現実も勢いよく人が入ってくると思うので、パニックになりそうな体験ができてよかったです。
・目まぐるしい変化で必死でした。今度じっくり行いたい。
・難しさのほうが強く感じた。後回しにできないことが次々に来ることなど。
・パニックになりました。運営側の統一、確認、ルールが確立されていない状態で避難者、クレームがどんどんきたので避難所の疑似体験ができたように思います。
HUG(避難所運営ゲーム)の効果や必要物品などの詳細は、かながわ子ども防災情報ステーション をご覧ください。
■講座概要■
講座名:横浜市安全担当教員研修「HUG」
日時 :2017年8月29日(火).30日(水) 15:00~16:45
会場 :花咲研修室
参加者:485人(横浜市立小・中学校、高校、特別支援学校教員)
講師:石田真実
サポート:防災教育ファシリテーター 伊藤朋子 岡田賢吉 門脇修子 小峰道晴 高橋満 谷本恵子 田村俊夫 角川京子 西川哲 水口美惠子 矢嶋恵子 薮下牧絵 山下潔 山下圭子
【エリア】鶴見、妙蓮寺、保土ヶ谷、都筑、いずみ野、港南台、上大岡、瀬谷、高津、相模原、茅ヶ崎、鎌倉、葉山