【報告】8/21千葉大ESD研究会シンポジウム

2017年8月21日(月)、千葉大学西千葉キャンパスにて、千葉大学ESD研究会「持続可能な社会の構築に向けて」が開催され、午前中のシンポジウムと午後の防災ワークショップ★LINK★の2つを担当しました。当日は天候に恵まれ、千葉県内を中心とした144人の学校関係者(うち高校生★○人★)が参加しました。

午前中のシンポジウムは、「いのちを守る ~地域を知り、人を知る 感性を磨く防災教育~」をテーマに、岩手県釜石市で展開された防災教育とその成果を、教師側、生徒側の両面から見つめました。
シンポジストに、森本晋也先生(岩手⼤学⼤学院教育学研究科 岩手⼤学地域防災研究センター准教授。釜石東中学校で防災教育を担当。)、川崎杏樹さん(山梨県立都留文科大学社会学科3年生。震災当時、釜石東中学校2年生。)当団体理事の石田真実(防災教育担当)を迎え、代表理事の伊藤朋子がファシリテーターを務めました。

 

まずは、シンポジストからそれぞれお話しをしていただきました。
森本先生からは、震災前に釜石東中学校で進めていた防災教育の取組み方針と内容、震災当日の避難の様子、そして現在岩手大学で行っている、当時の防災教育の教育効果の検証についてお話しいただきました。当時の中学生へのインタビュー結果から、
「防災教育を進めるうちに、学習内容と避難訓練がつながった。今まで何でだろう?と思っていたことが、理解できた。」
「過去の津波の話などを、地元の方から石碑などのその場所で聞くことで、本当にここに津波が来たんだ、と実感できた。」
「先生たちの真剣さ、熱意が伝わってきた。」
など、具体的にご紹介いただきました。

川崎さんからは、当時を振り返って、防災教育についてどのように感じていたかや、印象に残っている防災教育の内容についてお話しいただきました。川崎さんは、自分たちが受けた防災教育を全国の子どもたちにも受けて欲しい、それにはまず悪かったことも含めての振り返りが重要だ、と防災教育を大学での研究テーマとして取り組んでいます。

石田からは、釜石市の防災教育に学び、現在展開している防災教育の取り組みについて、当団体でモデル開発した『かながわ版防災教育プログラム』を中心に、小中高校での実践事例を交えてお話しました。

後半は、伊藤からシンポジストへ、またシンポジストがお互いに質問し合う形で進めました。
森本先生から川崎さんへ「中学生の当時、受けていた防災教育について、率直にどう感じていましたか?」
自分たちで考えたことをやらせてもらったので、・・・・

川崎さんから森本先生へ「私たちは自分のいのちを守る、協力して避難することは学んでいましたが、避難した後のことは学んでいませんでした。その辺りは、どう考えていたのですか?」
避難した後のこともやらなきゃいけない、と話題には上がっていたけれど、まずは自分のいのちを守ることが最重要だろうということで、あのような内容になった。避難後のところまでは手を付けられなかった、というのが正直なところです。保護者への引き渡しについても、、課題が多くありました。

伊藤から・・・
石田から・・・

午後は講演会を挟んでワークショップを行いました。(⇒こちら★LINK★)

<参加者アンケートより>
【高校生】
・実際にどのように、どんな気持ちで災害時の避難をしたのか。また、この災害から実際にどのようなことを改善していくべきなのかということを聞けたので、とても良い時間を過ごせました。
・防災学習の大切さがよくわかりました。防災学習はどこでも同じでいいのではなく、地域にあった防災方法を考える取り組みをやっていることを知り、これから日本中でそんな取り組みが増えればいいなと思いました。
・沢山の防災の知識を持っていても、いざというときに体が動かなくなってしまうと聞き、改めて1回1回の避難訓練を責任を持ってやりたいと思いました。
・日常生活が防災につながると聞き、自分の今日までの生活を振り返って、今もし津波が来たら、スムーズに逃げられないと気が付いたので、毎日の一つ一つの行動をしっかりしていきたいと思いました。
・難しかったけれど、災害についてまたよく考えなおしました。家族とも、もう一度話し合おうと思います。

【教員・教育委員会他】
・防災教育の指導者と生徒、東北と遠隔地(神奈川)等様々な立場から話をしていただきとても心に残りました。
・学校だけでなく、地域においても、実際必要とされる情報などを教えていただき勉強になりました。「安否札」などは非常に有効な対策だと思いました。元中学校の先生の「授業案」や具体的な学校での実践案の情報源を聞くことができ良かったと思います。
・防災教育の必要性と効果について、教育者の側と生徒としての両視点で聴くことで広く理解し考えることができました。かながわ311の取り組みと入谷小学校5分×9回授業での防災授業、全国でも取り組めたら、理想的で意識が変わりそうです。
・防災学習における「自主性の尊重」について、教える側の熱意が学生にしっかり伝わっていることが感じられ、希望が持てた。「持続性の維持には地域との結びつきが重要」という部分に大いに共感を覚えた。

■講演概要■
講演名:千葉大学ESD研究会 シンポジウム
日時 :2017年8月21日(月) 9:40~12:00
会場 :千葉大学教育学部2号館 大講義室
参加者:114人(高校教員・教育委員会関係者★64★、高校生★50★)
ファシリテーター:伊藤朋子
シンポジスト:石田真実

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。