【報告】8/19 防災教育ファシリテーター養成講座<初級編>第3回逃げ地図

2017年8月19日(土)、防災教育ファシリテーター養成講座の第3回でした。今回は逃げ地図づくりの体験。講師は、千葉大学大学院園芸学研究科・木下勇教授、アシスタントは木下教授の研究室の寺田さんです。日建設計の乾さんも駆けつけてくださいました。

   

逃げ地図は、避難地形時間地図といって、(株)日建設計ボランティア部のみなさんによって東日本大震災をきっかけに開発された、避難時間を地図上に可視化するツールです。建物を設計するときには、何かあったときに短時間で避難が完了するようにと考え設計するそうです。この考え方がもとになっています。
今回は、鎌倉をモデルに津波災害について取組みます。逃げるべき場所(高台)や避難ビル等が書き込まれている地図を利用します。地域によっては土砂災害、また津波と土砂災害を一緒に考えることもあります。

参加者がそれぞれ鎌倉に引っ越してきたと仮定し、地図上でそれぞれの家を決めました。
グループごとに設定を変えました。
1班:津波避難ビル・川にかかる橋ともに使用不可
2班:津波避難ビル・川にかかる橋ともに使用可
3班:津波避難ビルは使用不可、橋は使用可
土地勘のある人がいる班では、それ以外の危険個所もマークしてもらいました。作成後の違いは、どうなるでしょうか?
一般社団法人子ども安全まちづくりパートナーズ作成のマニュアルをベースに進めます。

  

いよいよ地図の作成です。高台の避難場所までの到達時間を高齢者が傾斜10度の坂道を歩く時の速さ(43m/分)をベースにして地図を色分けしていきます。地図の縮尺に合わせて距離を測る紐を利用します。避難場所から順に、まずは3分間、次に3〜6分、6〜9分、9〜12分、12〜15分と道を塗り分けていきます。分担して作業をしましたが、分岐もあり、細い道もたくさんあり、見落としてしまうこともありました。このような地域の特性も逃げ地図づくりをしながら気づくことができます。

色を塗りながらでも気が付いたことは、その都度付箋に書いて地図に貼っていきます。
色を塗り終えたら次はどの方向に逃げるか矢印を書き込みます。

  

班ごとに鎌倉の危険をなくしていくためにはどうすればいいか、どんな手段があるかを話し合いました。それを班ごとにまとめ、発表です。その後、講評いただきました。

       

3班分を並べて、見比べてみました。遠めでも色の違いがわかります。

    

逃げ地図は、これまで各地でワークショップが開催されています。塗り分けられた地図を前に、「この道とこの道を路地でつなげば今より数分早くできる」「従来の避難場所までが遠いので途中に高い避難タワーを設置して避難時間をさらに短縮しよう」など、避難場所への到達時間を短縮するアイデアが積極的に出てくるそうです。集まった地域の方々の主体的な参加を促すことができ、住民自身による安心/安全なまちづくりを検討する道具として、「逃げ地図」が役立っているそうです。

次回は9月2日(土)10時から、かながわ県民センター11階講義室で「HUG」を体験します。初級編の最終回です。

【参加者アンケートより】
・鎌倉は細い路地が意外に多いことに気が付いた。
・地図に書き込む作業をすることで課題を多く見つけ、共有することができた。この体験はとても貴重。課題を地域の声として防災に強いまちづくりに活かしていけると確信しました。
・条件によって状況が変わることがリアルだし、そうした比較を通じて対話のツールとして理解を深めることができる点が面白い。
・既存の(従来の)情報をうのみにせず、疑ってかかることも重要だと感じた。逃げ地図つくりは考える力、想像する力、分析する力を養うのに有効なほかヒューマン・リレーションにも役立つことがわかった。

逃げ地図(避難地形時間地図)の効果や必要物品などの詳細は、かながわ子ども防災情報ステーション をご覧ください。

■講座概要■
講座名:ファシリテーター養成講座<初級編>第3回 逃げ地図づくり体験
日時 :平成29年8月19日(土) 10:00~13:30
会場 :かながわ県民活動サポートセンター
参加者:16人
講師:木下勇教授
助手:木下研究室・寺田光成  (株)日建ハウジングシステム・乾櫻子
サポート:防災教育ファシリテーター 石田真実 小峰道晴 西川哲 矢嶋恵子 谷本恵子
【エリア】鶴見、相模原、鎌倉、葉山