【PR】「季刊311ネット」 2017年冬号

報道関係各位
2017年2月15日

「季刊311ネット」 2017年冬号

~ごあいさつ~
2016年があっという間に終わり、2017年も既に2月です。
6回目の3月11日が目前に迫っています。今年で7回忌になると思うと改めて月日の経過を感じますが、つい先日のことであったような気もしています。
昨年7月から毎月語り合ってきた、東北未来カフェも締めを迎え、2月11日には東北未来フォーラムを行いました。詳細は次号でご報告します。今、私たちが東北の被災地に対してできるのは、もう支援では無く、応援だと思います。応援活動を行いながら、東日本大震災という1000年の一度の災害から学ばせていただいた多くのことを、かながわを中心とした私たちのエリアで活かすべく、今年も頑張っていこうと思っています。
南海トラフ地震も、首都直下地震もいつ起きてもおかしくない状況です。備えよ常に、の心を忘れず、怖がるのではなく、冷静に備えて日々の暮らしを楽しめる、そんな1年にしたいですね。
代表理事 伊藤朋子

~各事業・プロジェクトの報告~

【災害復興支援事業】(担当理事 谷永、谷本)
熊本地震支援(担当理事 谷永)
2016年10月1日に、仮設の暮らしを支援する、地域支え合いセンターが発足しました。この組織は、今まで支援を続けてきた熊本県宇城市地域支え合いセンターが運営しています。同センターでの支援活動の中心はICT支援となり、新しく生活相談員として雇用された10名の方々に、10月に横浜から、小泉、伊藤の2名で訪問して文書作成の基本の講習会を行いました。また新しく地域支え合いセンターのFacebookページを作成し、担当者に記事の上げ方の指導をしました。被災者データベースが各センターに配備されるまで収集した情報を記録・利用しやすいよう、データファイルの作成や整理を容易に行えるシステムを開発しました。一方、これまで宇城市現地で支援活動を行ってきた谷永は、主に電話等での状況確認とアドバイスを続けています。年末には、宇城市地域支え合いセンターの活動に合わせて、仮説団地で行われた餅つき大会を取材し、相談員の方々の声を拾いました。地域支え合いセンターが軌道に載るまで、今年度一杯は支援を続ける予定です。

なお3月11日午後3時から、横浜市のかながわ県民センター711号室で熊本地震活動報告会を開催、谷永理事が報告する予定です(詳細はhttp://kanagawa311.net/で)

【東北未来カフェ】
第4回いわき編、第5回岩手大船渡編、第6回福島相馬市編報告 (担当理事 米田、伊藤)

東北未来カフェは、東日本大震災の被災地の今を知り、明日を考える機会にしたい、という思いで、311ネットが今年度お届けする連続企画です。東日本大震災から5年、被災地の現状を再確認し、復興への課題や問題点を共有して、私たちが「かながわ」からできることをあらためて考えようと開催しました。
2016年12月までに全6回行い、2017年2月11日は東北未来フォーラムを開催しました(第1回は季刊311ネット2016年夏号に、第2回、第3回は同2016年秋号に掲載)。

東北未来カフェ第4回 福島いわき編 (担当監事 田崎)
第4回東北未来カフェ<福島いわき編>は2016年10月8日(土)、関内のさくらWORKSで「未来会議トークナイトin横浜」と題して開催されました(参加者人数:45名、その他スタッフなど計50名以上。詳細報告はhttp://kanagawa311.net/16704をご覧ください)。いわき市から「未来会議」の菅波香織事務局長と「双葉郡未来会議」の平山勉代表をお招きし、かながわ311ネットワークの正会員で、2014年9月に横浜からいわきに移り住んで福島県任期付職員として現地で働いている山根麻衣子さんと3人のクロストークで、爆発事故で多くの住民が避難を余儀なくされた東京電力福島第一原発のある福島県浜通りの「リアル」を語り合ってもらいました。
クロストーク後はいわきを中心とする福島の豊かな食材を使ったフレンチシェフの料理と、東京ではなかなか手に入らない地酒で、定員を超す45人の参加者、ゲスト、厨房ボランティアなどを含めると50人余りが夜遅くまで歓談しました。
菅波さんによると、事故直後いわきには2万人以上が避難しました。一方で、いわき市内で壊滅した集落があるなど地震・津波の被災地であり、放射線への不安から自主避難した人々も。避難者を受け入れながら、関東の一部などからは放射能で差別を受けるといった、様々な問題が起きていたと話しています。福島に行ったことがある人は3分の2以上、いわきや双葉郡など浜通りに行ったことがある人も半数近くいましたが、熱心にメモを取っていた人が多かったのが印象的でした。

東北未来カフェ第5回 岩手大船渡編(担当理事 伊藤)
第5回東北未来カフェ<大船渡編>は、2016年11月12日(土)、関内のさくらWORKSで開催されました(参加者人数:23名、うちスタッフ5名。詳細報告はhttp://kanagawa311.net./17210をご覧ください)。大船渡津波伝承館の齊藤賢治館長をお招きして、「津波伝承館in横浜」が実現しました。沿岸部にあった「さいとう製菓」の本社で東日本大震災に遭遇した齊藤賢治さんは、従業員と共に迅速に避難したため、社員からは犠牲者を出すことはありませんでした。ご自身の過去のチリ津波の経験、お父様の昭和の大津波の経験などから、普段から備えていたことが、迅速な避難に繋がった、と語っていらっしゃいます。
東日本大震災の2年後の2015年3月11日に、大船渡津波伝承館を立ち上げました。「あなたに助かって欲しいから」は津波伝承館のキャッチフレーズです。
東日本大震災で亡くなった方のうち、70%の方はしっかり逃げていれば助かった。これは重い事実です。この講演の10日後の11月22日、久しぶりに福島県、宮城県で津波警報が発令されました。小さいながらも、川を遡上する津波の映像は5年前を思い出しました。
大きく揺れた土地の方々はもちろん、揺れの少なかった地域でも、地震に備え、津波にそなえることができたでしょうか。

東北未来カフェ第6回 福島相馬市編(担当理事 米田)
第6回東北未来カフェ<福島県相馬市編>は、2016年12月3日(土)みなとみらいBUKATSUDOにて開催されました(参加者人数:30名。詳細報告はhttp://kanagawa311.net/17647をご覧ください)。福島県相馬市から「相馬のおんちゃま」こと水産加工会社センシン食品社長の高橋永真さんをお招きしました。当日は、おんちゃまファンの方々も加わり会場いっぱいの30名の皆様が、相馬原釜漁港の震災前後の比較や試験商業の状況、美味しさのみでない食の安全に関するこだわりに関するお話を熱心に伺いました。
その後はお待ちかねの懇親会、開会前には相馬の獲れたて大ヒラメを高橋さんが捌くパフォーマンスもあり、おんちゃま特選の相馬食材に山下大地シェフがイタリアンにアレンジしたお料理も加わり皆様も大満足。さらに名取市閖上地区で復興工業団地に仮設蔵を作って復活した佐々木酒造店の美味しい日本酒と仕込み水も加わり、食にお酒にお話にと時間を忘れるほどの盛り上がりでした。美味しい食材を味わうのみでなく、東北復興の本質を考えさせられる、未来カフェの締めにふさわしいイベントとなりました。

【東北グルメフェア】(担当理事 米田)
年末恒例となりました東北グルメフェア、今年は12月8日(木)、9日(金)にかながわ県民センター1F展示場で開催しました。
今回は朝日新聞さんに事前告知記事を載せていただいた事もあり、平日の開催にもかかわらず例年以上のお客様にご来場いただき、早々に売り切れてしまった商品も多く、ご来場の皆様にはご迷惑をお掛けしました。
相馬のアンコウ関連商品、バター最中、石巻の牛タン入りつみれ、気仙沼の生ワカメ、陸前高田の気仙味噌、米崎リンゴなど定番の人気商品に加え、熊本支援コーナーとして宇城市を支援している谷永理事が現地の道の駅で購入した熊本食材が人気を集めていました。
また、今年1月に惜しまれながら閉店した「愛と勇気とさんま」や、みなとみらいワールドポーターズのアンテナショップ「気仙沼PORT」からも魅力的な商品が提供されました。
東日本大震災の記憶が薄れつつある中、このようなイベントに多くの方がご来場いただき美味しい食材を通じた東北被災地応援が継続できることを嬉しく感じています。

【児童・生徒の防災教育推進事業】 (防災教育事業 担当理事 石田)
いざという時、自分のいのちを自分で守れる子どもを育てること、すべての子どもが、生き抜く力をつけることを目的に、小中学校での防災教育に取り組んでいます。かながわボランタリー活動推進基金21協働事業負担金対象事業として採択され、県との協働事業として進めています。
昨年度作成した「かながわ版防災教育プログラム」を今年度はモデル校3校で導入し、プログラムの実施検証をしています。横浜市立並木中学校では、11月18日学校保健委員会でHUG(避難所運営ゲーム)を実施しました。校長先生やPTA役員さんにも参加いただき、「楽しみながら防災の学習ができる、とても良い教材ですね。生徒たちが笑顔を見せながら真剣に取り組む姿が印象的でした。」という感想をいただきました。モデル校以外にも11月だけで4件の依頼があり、飲食店でHUGを実施するという、初の試みにもチャレンジしました。また、横浜市立能見台小学校6年生の1クラスでは、10月にDIG(災害想像ゲーム)で自分たちが暮らす地域の災害特性を学び、11月にHUGで避難所運営を疑似体験しました。さらに、子どもたちから「避難所生活を体験したい!」という意見が上がり、12月の冬休み直前に学校に2泊3日の「避難所生活体験」をしました。6年生の子どもたちが自分たちで考えて避難所の生活エリアを作り、あとから来た人への配慮など、試行錯誤を繰り返しながらの3日間。「思うようにできないことばかりだったけど、楽しかったし、みんなと協力できてよかった!」と、これまでの学習の深まりを感じました。
神奈川県特命子ども地域アクタープロジェクト(実施主体NPO法人ミニシティ・プラス)とのコラボ企画で、11月23日には、あーすぷらざで開催する「かながわボランティアフェスタ2016」の一企画として「防災GO」を子どもたちと一緒に企画、実施しました。ポケモンGOになぞらえて、1.スタート<段ボールトイレ>、2.キズぐすり<カンタン応急手当>、3.GYM<Tシャツ担架体験>、4.アメ<非常食試食>、5.ゴール<アンケート>でスタンプラリーにしました。それぞれのコーナーはアクターの子どもたちに担当してもらい、説明や実演をしました。小さな子ども連れの親子での参加が多く、楽しく防災を考えるきっかけを作ることができました。
2年間の協働事業の集大成として、2月26日に「防災教育事例発表会」を横浜市吉野町市民プラザで開催します。当団体とかかわりのある7団体(学校・団体)がそれぞれの取り組みについて発表します。岩手大学大学院教育学研究科より森本晋也准教授をお招きし、「釜石の奇跡」と称された当時の防災教育から現在の研究について講演いただきます。詳細はホームページをご覧ください。⇒http://kanagawa311.net/17716

【講座事業】 (担当理事 伊藤)
今年度のコミュニティカレッジ講座を、下記の日程で開講しました。受講生は15名でした。
畑山教授には、熊本地震の事例なども含めて「災害時にICTはどう使われ、どう役立つのか」というテーマでお話しいただき、それを使って災害時の共助を支える仕組み作りをテーマに、四面会議の手法を使ったワークショップのやり方を教えて頂きました。
伊藤は、スマホを使いこなして災害、防災に活かすために、SNSの活用、防災に役立つスマホアプリ、デジタルマップの利活用についてお話しました。
受講者の皆さんは、それぞれ目からうろこのことが多かったようです。少しでも日常に活かしていただけたら、と思います。

開催日 内容 講師
<1> 10月30日(日)
10:00~13:30
災害時にICTはどう使われ、どう役立つのか 京都大学防災研究所
畑山満則教授
<2> 11月6日(日)
10:00~13:30
情報弱者とならないためのSNSの活用 担当理事       伊藤朋子
<3> 11月20日(日)
10:00~13:30
防災、減災に役立つスマホアプリの利活用 伊藤朋子
<4> 11月27日(日)
10:00~13:30
災害時の共助を支える仕組み作り(四面会議の手法を使って) 畑山満則教授
<5> 12月4日(日)
10:00~13:30
情報弱者とならないためのデジタルマップの利活用 伊藤朋子

※「認定NPO法人かながわ311ネットワーク」とは
認定NPO法人かながわ311ネットワークは、東日本大震災において、神奈川県と社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会との協働により「かながわ東日本大震災ボランティアステーション事業」を運営したボランティアが立ち上げた法人です。
東日本大震災での活動経験を生かし、被災地の緊急支援活動、防災教育事業に取り組むとともに、東日本大震災の被災地復興支援活動を継続して行っています。
大きな災害が起こったときには、復興活動や避難所運営の支援、ボランティアの企画・実施も行います。
設立:2013年5月1日 NPO法人化:2013年10月1日 認定NPO法人化:2016年8月1日

【これまでの活動実績】

I 被災地の緊急支援活動
1. ボランティアバスの実施
①    山形県南陽市水害 (2014年7月2回・のべ55名)
②    北関東水害 (2015年9月~11月6回・のべ251名)
2. 被災地の災害ボランティアセンターの支援等
①    熊本地震 (2016年4月~熊本県宇城市災害VCの立上げ・運営支援、避難所、仮設住宅支援等)
②    台風10号水害(2016年9月 岩手県久慈市 岩泉町)
II 防災教育事業
①    ICTを活用した防災学習 (神奈川県かながわコミュニティカレッジ:2014年度・2015年度・2016年度 等)
②    児童・生徒の防災教育推進事業 (神奈川県教育委員会との協働事業:2015年度・2016年度)
III 東日本大震災復興支援事業
1. ボランティアバスの実施
①    気仙沼市等へのボランティアバス (2013年6月~、23回 のべ632名)
2. 復興応援イベント
①    復興キッチン:東北の食材やお酒を楽しむ会13回 (2013年7月~)
②    グルメフェア:東北の加工食品の頒布会 4回 (2013年から毎年1回)
3. 勉強会
①    防潮堤勉強会2回 (2013年10月、2014年8月)
②    かながわ発U-22 被災地行ってきました。:東北被災地を訪問した若者の報告会3回 (2013年11月、2014年6月、2014年11月)
③    東北未来カフェ:東北の今を知る講演会6回(2016年7月~12月)+東北未来フォーラム(2017年2月11日)
◆本件に関する取材等の問い合わせ先:
認定NPO法人かながわ311ネットワーク
電話 070-5577-5394
メール info@kanagawa311.net
担当理事:伊藤 朋子
ホームページhttp://kanagawa311.net

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