2016年11月27日、茅ヶ崎にあるダイニングはるにて、団体初の飲食店イベント企画として避難所運営ゲーム(HUG)を開催しました。
防災教育というのは、普段小中学校向けに行っていますが、わたしたちの願いの根幹にあるのは「命を守れる子どもを作る」ということです。そのためには、どうしても大人の協力が必要になります。大人にも、きちんと防災のことを知って欲しい、そして子どもたちに伝えて欲しいと思うのです。
今回の飲食店でのHUG開催、そしてその後懇親会という流れはわたしたちにとっても初めての試みでした。
参加メンバーはスタッフ入れて全部で10名弱。今回は1班のみ8名弱編成でのゲームスタートとなりました。ゲームの仕様は学校のときとまったく同じで、学校の見取り図はHUGゲーム付属の基本形を使用しました。
まずはゲームにはいる前に恒例の「避難所クイズ」。そして、HUGについて簡単な説明をしていきます。避難所運営ゲームのローマ字表記を取って「HUG」と称されているこのゲームですが、なじみのない人にとっては「HUG」という名称が、本来の意味であるHUGする(抱きしめる)を連想させ伝わりづらい一面もあるのだということを気づかせてもらいました。
それは、このゲームの意図としてある「避難者をやさしく抱きしめる(HUG)」が伝わりやすくもあり、そして伝わりにくくもしているということです。
そして、ゲーム開始。
大人ばかりのゲーム運営は何度もしてきていますが、今回は皆さんかなりきっちり分業してからのスタート。係り決めがしっかりとされ、話し合いをとてもスピーディにしながらのゲーム進行となりました。
かなり高速でカードを読み上げ、どんどん人が押し寄せてくるシチュエーションを作り、避難者が押し寄せるパニック状態を再現しているのですが、処理待ちのカードが一枚も出ないという素晴らしさで、避難所を運営していました。
それぞれの立場、それぞれの知識を駆使して、特にペットをどこに入れていくのかなどに土地特有の配慮を加えたゲーム展開となりました。
というのは、湘南地区はペット大国で有名なお土地柄です。ワンちゃんを飼っている世帯数はかなりの数にのぼり、もし発災すればペット問題が避難所に持ち上がることは間違いない地域。それだけに、地域防災に関わる人たちはそのことをとても懸念し、日ごろからいろいろと独自に訓練を行ったりもしている地域でもあるのです。それだけに、ペットに対する意識の高さが他の地域で行われるHUGよりも特出して高いように感じました。
また海岸や河川に面した場所に学校が建っているという海のそば特有の立地条件、かつて別荘地であったという背景も手伝って、都心からの
移住組みも多く、その点でもいろいろな発見をしていただける時間となりました。
終わった後「もう一回やったら、違いますか?」という質問を頂きました。そして最も多く聞いた意見が「絶対に経験しておいたほうがいい」。
今回、飲食店のイベントページを見て集まってくださった茅ヶ崎在住の方々。地域のフリーペーパーの編集者、動物保護をしている方、防災士の方、建築関係に従事する方など、多方面の方がご参加くださいました。
これはかなり実際の避難所運営に、ある意味近いことではないでしょうか。実際に発災した場合、避難所には立場もバックボーンも違う人たちが集まってきます。それぞれの立場で、それぞれの視点で避難所を運営し始めたらどうなるか。
わたしたちにとっても、多くの気づきを得る1つの機会になりました。
ゲームを終えての懇親会では、アルファ米の試食が呈されました。非常食の試食としてのアルファ米は初めて食べましたが、とても美味しく、やっぱり日本人はお米と、温かい食事にホッとするのだろうなぁと思った瞬間でした。
HUGは、あくまでもゲームですが、そこで経験できることは、きっといざというとき必ず生かされるのではないかと思うのです。想像力をどう使うか、それは日ごろ何を見て、何を経験するかによって大きく左右されていきます。その意味でも学校以外の防災教育の新しい形を見つけられた気がした一日でした。
今後も飲食店などでのイベント形式のHUG開催のご要望があれば、ぜひ協力していきたいと思う貴重な会となりました。
HUG(避難所運営ゲーム)の効果や必要物品などの詳細は、かながわ子ども防災情報ステーション をご覧ください。
■講座概要■
講座名:ダイニングルームはる de HUG(避難所運営ゲーム)体験
日時 :平成28年11月27日(日) 13:00~16:00
会場 :ダイニングルームはる
参加者:9人
講師:石田真実
サポート:防災教育ファシリテーター 谷本恵子 水口美恵子
【エリア】鶴見 茅ヶ崎