【報告】8/20 防災教育ファシリテーター養成講座<初級編>逃げ地図

8月20日(土)、かながわ県民活動サポートセンター11階講義室1で10時から「防災教育ファシリテーター養成講座<初級編>」の第3回でした。

今回は「逃げ地図」です。正式には「避難地形時間地図」といいます。(株)日建設計ボランティア部(社内クラブ活動)が開発し、明治大学の山本教授以下学生さんたちも一緒になって逃げ地図プロジェクトで研究を進めていらっしゃいます。

当日は(株)日建設計ボランティア部の羽鳥達也さんを講師に、同部の穂積さん、乾さん、明治大学大学院生の天野さん、山中さん、一般社団法人子ども安全まちづくりパートナーズの重根さんがスタッフとして来てくださいました。
dsc06468_28821014100_o_R

まずは「逃げ地図」についてのレクチャーを受けました。
設計会社では、大きな建物の設計段階で避難路を考える行程があり、それを応用したものだそうです。震災直後の地域で、再度の津波到来に不安を抱く被災地住民の方々の声を聞き、避難ルートの検討と作成のお手伝いをするところから始まりました。

対象となる地域の白地図上に、過去の津波記録から安全区域を設定し、高齢者がゆっくりと歩行してそこまでたどり着ける時間を3分ごとに色分けし、避難時間を可視化するものです。
避難場所から道に色を塗ることで、「1番近い避難場所まで、何分で逃げられるかがわかる」地図になります。

色を塗る距離を決めるために、ひもが用意されています。3分で129m。これは、お年寄りが傾斜度10度の坂道を歩くときの速さを考えたときのもので、速さが43m/ 分。誰もが逃げることができる速さだそうです。
dsc06510_28489071573_o_R

今回、3班に分かれて、それぞれの条件を少しずつ変えました。A班は津波避難ビル利用可で橋が通れる、B班は津波避難ビル利用不可で橋を通れない、C班は津波避難ビル利用不可で橋を通れない、さらに参加者が一つ避難ポイントを減らす、という設定です。どのような違いが出るのか、興味津々で作業開始です。

あらかじめ決められている避難ポイントから順に色鉛筆を使って塗っていきます。この工程は塗り絵感覚で、誰もが無心になれるようです。黙々と作業が進みました。
dsc06570_28820778030_o_R  dsc06623_28489380473_o_R

全部の色を塗り終えたら、どちらの方向に逃げたほうが避難場所に早く到着できるか矢印を書きこみます。これは意外と難しいポイントもあったようです。
dsc06674_28821223110_o_R

出来上がった地図を見ながら班ごとに気づいたことを書きだしました。参加者の皆さんが土地勘のない地区でしたので、難しいところもあったかも知れません。
(例)
・学校の校庭を通り抜けると早く避難できる
・お隣と仲良くしておいて、避難路を確保するといい
・道幅の広い道路だからといって車で避難するのは危険
・道路が狭い  などなど

dsc06730_29002319552_o_R dsc06751_29108365995_o_R

それぞれの班で発表し、全員で共有しました。
dsc06762_29108287995_o_R  dsc06781_29108208885_o_R  dsc06787_29075721366_o_R

それぞれの班の地図を見比べてかなり違いがあったので、これもそれぞれが考えるきっかけになり、ワークショップで効果的な活用ができるものだということはよく分かったのではないでしょうか。地図は「避難性能を高める」「生きる可能性を高める」「安心して暮らせる街にする」ために活用できます。
「参加者に自分たちで作ってもらうことが重要」とのことです。

今回、鎌倉の材木座海岸をモデルに体験をしました。津波からの避難ポイントがわかりやすい地区です。実際に鎌倉の皆様もこの逃げ地図を利用して、自分たちなりの避難経路を新たに開拓されたりしているそうです。

「逃げ地図防災マニュアル」の紹介もしていただきました。今回は「津波災害」で取り組みましたが、「土砂災害」や「津波+土砂災害」のように住んでいる地域で起こりそうな災害を想定して取組むこともできます。防災教育の幅が広がっています。

お仕事の合間にご指導くださいました講師陣に感謝申し上げます。また、防災教育ファシリテーター養成講座<上級編>でもお世話になります!
逃げ地図(避難地形時間地図)の効果や必要物品などの詳細は、かながわ子ども防災情報ステーション をご覧ください。

次回は、初級編最終回となります。9月3日(土)10:00~13:00 HUG(避難所運営ゲーム)です。

■講座概要■
日時:2016年8月20日(土) 10:00~13:30
会場:かながわ県民活動サポートセンター 11階 講義室1
参加者:22名
講師:逃げ地図プロジェクト 羽鳥達也
サポート:乾櫻子 穂積雄平 天野友貴 山中盛 重根美香
防災教育ファシリテーター 石田真実 小峰道晴 谷本恵子 角川京子 西川哲 水口美惠子 矢嶋恵子
【エリア】鶴見、相模原、横須賀、鎌倉、藤沢、葉山

認定NPO法人かながわ311ネットワークをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む