【報告】10/3 復興キッチン「相馬買い物バスツアー」

NPO法人かながわ311ネットワークでは、産業復興支援事業の一環として、福島県相馬市、南相馬市への買い物バスツアーを実施しました。このバスツアーは、定期的に開催して好評を得ている「復興キッチン」のメンバーが企画し、九鬼ツーリストが主催したツアーです。相馬地区での買い物に加え、食の安全や新しい取り組みについての紹介をはじめ、現地復興状況の視察や現地団体との交流、語り部さんによる被災体験の共有などを行ってきました。(この報告はツアーに参加された方が書いてくださったものです。表記や文体の統一など、編集者が最小限の校閲をしています)

食べて応援! 復興キッチンの相馬買い物バスツアーに参加してきました。

6時30分横浜天理ビル前集合/出発。
はじめましての方、お久しぶりの方、まずはバスに乗り込み着席。お見送りのスタッフに手を振り元気に出発。
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朝早い集合でしたので、一言ずつの自己紹介後はリラックスタイム。
首都高から常磐道に入り、途中トイレ休憩後に米田理事から復興キッチンについてと本日の行程の説明があり、南相馬ICを目指します。

福島県に入ってから車窓からはたくさんの黒い除染袋が見られました。浪江町双葉町ではもっとたくさんの除染袋に緑色のシートを被せた物が丘のようになっている所もありました。そして除染作業をしているすぐ近くには民家もありました。
高速道路の脇に空間放射線量を表示する看板もあり、0.2→0.6→2.0とだんだん上がり双葉町では4.6と高い数値でした。(編集注:単位はµ㏜/毎時)

11時頃予定通りにJAそうま農産物直売所到着。
直売所に隣接する定温倉庫に移動し、職員の古内様よりお米の現状についてお話を伺いました。震災前は倉庫いっぱいにお米が保存されていたという農協定温倉庫内はガランとしていました。

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そこに少しだけ置かれていた今年の新米は放射線量を測定し厳しい基準をクリアしたお米です。基準がクリアできないお米は市場には出回らず廃棄処分になるとのこと。つまり売られている福島産のお米は安心して食べられるということがわかりました。(編集注:前日に検査した403袋は、全袋基準値以下だったそうです)

検査機械
全袋検査の機械
小さく見えるのが検査済みのシール
小さく見えるのが検査済みのシール

直売所「旬のひろば」で生産者の荒様のお話を伺いました。震災後の風評被害を払拭するために様々な取り組みをされていて、月に1回開催される「ひろばの日」には野菜の美味しい食べ方や少量多品目の生産のノウハウなど組合員で教えあい、支え合っているとのこと。

お話を伺った後はいよいよ買い物! 地元の方が作られた野菜、無花果や梨などの果物をたくさん買い込みました。

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12時30分報徳庵にて昼食。

食文化から相馬の復興をしていこうと力を入れている報徳庵は、被災者で作ったプレハブの復興商店街の一角にありました。アジフライの定食をいただきましたが、肉厚で美味しい! 報徳庵の調理主任の方は「最近、アジの出荷許可が出たのでフライにしました。どうぞ召し上がってください」と話されました。(編集注:震災前は150種類以上の魚が捕れていたが、現在許可が出ているのは64種類)

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ここでうれしいサプライズ。支援でいらしていたシンガーソングライターのhacto(はくと)さん、皆川大輔さんの歌を聴くことができました。その後、2階の事務所にてお買い物。乾物(アオサ海苔)やお菓子、お米を購入した方もいました。

hactoさん
hactoさん
皆川大輔さん(奥でギターを弾いている方です)
皆川大輔さん(奥でギターを弾いている方です)

13時55分センシン食品到着。
相馬のおんちゃまこと高橋永真様より食の取り組みについてお話を伺い、加工場見学、水産加工品のお買い物。いくらの醤油漬け、メヒカリの刺身、タコの頭の刺身、アジフライなどなど自慢の品を紹介してくださいました。(編集注:塩鮭、しらすも絶品です)
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中央が高橋さん
中央が高橋さん

センシン食品では全商品を非破壊式の放射線量測定器で計測し、安全安心な食品を提供しているとのこと。フライのパン粉も全部無添加のものにするなど、食の安全にこだわっています。
高橋さんのお人柄もあり、皆さん先を争うようにたくさんの加工品を買っていました。

その後、隣接するカネヨ水産で買い物。
こちらのお店も水産品や乾物などを売られていてお買い物しました。

15時頃より小高地区見学。
この小高地区は避難指示解除準備区域、ということで来年4月に避難指示が解除されるまでは泊まることはできない地区とのこと。日中のみ立ち入りが許可されている地区です。
小高駅見学。隣の駐輪場にはたくさんの自転車が震災の日からそのままの状態で並んでいました。

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現在の小高駅構内

避難指示が解除された時に多くの住民に戻ってきて欲しい、との思いを持つ方が最近開店したお店がありお話を伺えると聞き、駅から歩いて数分の東町エンガワ商店へ。
店長の常世田さんのお話を伺う。震災後に何度も福島に足を運びボランティアをしていて、今年5月に会社を早期退職し、福島に引っ越してきたとのこと。
小高の方々の生活必需品がそろう、スーパーとコンビニの中間のようなお店でした。

エンガワ商店
16時50分に小高を出発し、国道6号線経由で常磐道へ。
工事のトラックが走る帰還困難区域を車窓より見学し常磐道に向かいます。
今回のツアーを企画したメンバーの山下圭子さんのガイドで、浪江町、双葉町、大熊町を通過。途中道路からは建物は見えないが福島第一原発、福島第二原発の側を通過。国道6号線の帰還困難区域区間は車の通過のみが許可され、二輪車や歩行者の立ち入りは禁止されています。土地は荒れ果てて草は伸び放題、家の屋根には修理も出来ないため白いビニールがかけられているのが目立ちます。もう帰ることができないことが想定されているのか、ほとんどの家の門の前には大きな柵が取り付けられています。

国道以外の道へは入れません
国道以外の道へは入れません

9月5日に避難指示が解除された楢葉町に入るとコンビニがあり、暗くなってきたため灯りがともっている家もありますが、ほとんどは人の気配がありません。楢葉役場前にはプレハブの復興支援商店街がありました。避難解除を想定してのことだと思います。

その後は車中で夕食のお弁当をいただき、常磐道から首都高を経由、21時30分横浜天理ビル前に無事到着しました。

報徳庵作製の夕食弁当。デザートのイチジクのコンポートが美味しかった
報徳庵作製の夕食弁当。デザートのイチジクのコンポートが美味しかった

 

今回考えたことは、自分のできる範囲の応援を継続することが大切だということです。自分で足を運び現地で話を聞き、目で見て確かめ、地元の空気を吸い、食品を味わう。復興キッチンの担う役割は今後もっともっと大きくなると感じました。

今回ガイドをしてくださった復興支援センターMIRAIの清水さん、関わってくださった皆様にお礼を申し上げます。(上田美子 記)

《編集部より》
10月17日(土曜日)に、復興キッチンVol.12が行われます。
詳しい情報は、こちらからご覧いただけます。
みなさまのご参加を、心よりお待ちいたします。

“” への1件の返信

  1. 高橋さんのお話し、避難指示解除準備区域の小高駅の周辺様子、帰還困難地区の人の気配のない異様な風景など、実際に見れてよかったです。
    横浜についたとき、横浜駅の何ら普通と変わらない様子にすごいギャップを感じました。
    福島では、まだ全然原発事故のよる不便さや、変わってしまった生活がもどってないのに、ここではまるで忘れた様に普通の生活がおくられています。
    このことを周りの人に伝えなければと思いました。

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