【311応援情報】メカカレーとは? 気仙沼の隠れたソウルフード発掘

■僕ら、美味しいもの探し隊!~隠れたソウルフード発掘編■
2013年に復興キッチンがスタートして、丸2年が経ちました。
第2回の復興キッチンで、「気仙沼 美味しいもの探し隊」という旅の報告会をしたことがありますが、覚えている方は、果たしていらっしゃるでしょうか?

そのとき、「なれなれしい担当」として現地派遣に行かせていただきました。初の東北、初の宮城、初の気仙沼、初の深夜バス、何より初の被災地。
もう何から何まで、はじめてづくし。そんな中で当団体専務理事の谷本さんナビゲートのもと、現地の家庭料理や、ご飯屋さんをめぐり美味いものを探す2泊3日の旅にキッチンシェフの本間さんと3人で出発。まぁ、これだけはじめてづくしのわたしが何をできるわけもなく、接客業についている特権で「なれなれしく現地の人とお話をして、興味あることを突っ込んで調べます」の担当となったわけです。

そんなミッションを背負って訪れた仮設で仕入れた話は、そりゃもう突っ込みどころ満載でした。

「農協で買ってきたんだよ、最後の1個だった」と見せられた、一袋100円くらいでありえないくらい入ったぶっといきゅうり。和え物にして食べるんだよ、といわれたその和え物には、唐辛子みたいな香辛料を使うとのこと。でも、キムチじゃないんですよね? みたいなお話に始まり、まぁ、見たことも聞いたこともないような食べ方やレシピが幾つも出てきました。使っている食材も神奈川では見たこともない種類の野菜や香辛料のオンパレード。
お時間いただいた婦人部の方に「それって、どうやって食べるんですかね?」と聞くこと数回。だって、見たことも聞いたこともないようなものが、次々話として出てくる。味や完成形を、まったく想像することができなかったのです。

例えばホヤ。キムチで和えて食べるって言われたら、皆さんは想像つきますか? でも、これ結構普通らしい。「え? え? それって、どういうことですか?」って食べ物が、気仙沼には結構あるのです。復興キッチンとしては、そういうものを皆さんにご紹介しご家庭の食卓で味わっていただきたい、という願いを今でも常に持っています。日々キッチンチームで考えるレシピのほかに、いつか、ソウルフードをご紹介できないかと考えていました。中には、「そんなの知らないよ」と気仙沼出身の方に言われてしまうようなレシピもあるくらい。

その1つが、メカジキを使った「メカカレー」。
普通カレーといったらお肉、という常識を大きく打ち破ったこのメニューを最初に聞いたとき、スタッフ一同「絶対、話を作ってる」くらいに思いました(教えてくれた方、本当にすいません)。だって「俺がカレーに豚肉が入るもんだって知ったのは中学3年生のときだった」とか言われて、信じます? 無理です、えぇ、絶対無理でした。でも、話を聞いてるとどうやら本気で言っているらしい……。

そのうち、神奈川に戻ったスタッフが別のイベントで気仙沼の方と一緒になり、メカカレーの話をしたら「え? 何で知ってるの? 気仙沼出身?」と聞かれたという。
こうなると、もう信憑性が出てきます。
「マジか、本気で気仙沼ではメカジキでカレーを作るのか?!」とかなるじゃないですか? だってメカジキでカレーですよ? 想像できます?

復興キッチン調べでは、どうやら昭和40年以前に生まれた方はメカカレーは気仙沼では普通に食べていたよ、という方がいるらしい。ってことは、反対に平成生まれとかは知らないのか? ってことになりますよね。いや、それはもったいないでしょう! っていうか、再現しましょうよ! みたいな話になるわけです。

カレーは、もはや日本の食文化として一般的なものになりつつあります。しかも家庭ごとに「うちの味」が、最も出しやすいものでもあります。アレンジしやすいんですよね、それだけに肉じゃなくってメカジキだよ! は十分にありえる話だと思うのです。

さて、メカジキをつかった気仙沼のメカカレー。
気仙沼のメカジキと、他のメカジキで味が違うのか? などなど研究の余地がたくさんありそうなメニューだとは思いませんか? 復興キッチンは、こうして埋もれつつある、出身者にもあまり知られていない現地のソウルフードをお伝えすることも、行っていきたいと思っています。もちろん、現地の美味しい食材とともに。

復興キッチンチーム 水口美惠子

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