【PR】「季刊311ネット」 2014年夏号

NPO法人かながわ311ネットワーク (以下、311ネット) は、2年目の活動に入りました。今回の「季刊311ネット」 2014年夏号は、主に4月~6月の活動報告をお届けいたします。昨年度に引き続き、「海ベの森」号、復興キッチン、若者向けの教育活動など、それぞれの事業においてより充実した活動ができるよう、本年も努力してまいりますので、どうぞご協力ください。

さらに今年度は、災害情報活用のためのコミカレ講座の開催、被災地の情報を神奈川をはじめとする首都圏につなぐための勉強会開催の活動など、盛りだくさんの新しい企画を用意しています。
先日5月31日 (土) には、正会員18名全員が出席し (うち委任状2名)、初めての年次総会を開催しました。初年度半年間 (NPO法人に移行した2013年10月から2014年3月) の活動報告、決算報告に対し、全会一致で承認の議決をいただくことができました。今年度の事業計画、予算案の説明も行い、理事一同、今年度への意気込みをお伝えできたことと思います。
2013年度事業報告書一式をホームページに公開しています。

総会終了後には、広く一般の方に向けての事業説明会、懇親会を行い、今年度の事業計画についてご説明を行いました。「着実にやっていくこと」「機動力をもって臨機応変にやっていくこと」、この両面を大切にして、小さく固まることなく仲間を広げていきたいと思っています。今後も説明会の機会を持っていきますので、ご都合のつく機会にぜひご参加ください。
7月には、山形県南陽市豪雨災害に際して立ち上がった現地のボランティアセンターに向けて、7月21日 (月・祝) と26日 (土) の2回、ボランティアバスを運行しました。多くの方からのご寄付に支えられ、また53名という多くの参加者を得ての運行でした。
これからもボランティアの参加が求められるような災害が発生した場合、臨機応変な対応ができるよう、団体の体制を整えていきたいと思います。

ところで、6月末に、谷本理事 (災害復興事業担当) と共に、宮城県仙台市から岩手県宮古市田老町まで、3日間で800kmを走り、各地を訪問してきました。限られた時間ながら、いろいろな方にお目にかかることができ、また「復興の今」を見ることができました。人や物の流れが断ち切られたことでうまく回らなくなっている産業や暮らし、まだ荒れたままのところ、片付けが終わっただけのところ、かさ上げ工事が本格化し、道も家もまったくなくなったところなど、沿岸部はさまざまな顔を見せています。震災当初の混乱期は脱したものの、先の見えない辛い時間をお過ごしの方が多いことが感じられました。明けない夜はない、と信じて進む方々にもお目にかかりました。遠く宮古の方ともご縁ができました。
IT講座などで、宮古に伺える機会があるかもしれません。また「海ベの森をつくろう会」でご縁の深い気仙沼市大谷地区の野々下海岸には、9.8mの高さの防潮堤が一部、その姿を現していました。かさ上げ工事が終われば、道路や線路が引き直され、今までとは違う新しい町ができます。魅力ある街作りができるように、見守り、手を貸せるところは協力していきたい、とあらためて思いました。

私たちと一緒に、東北の復興に寄り添い、地域の防災・減災に備える活動に加わってくださる方は、ぜひご連絡ください。継続的に機動力をもって活動する上では、なんといっても仲間が必要です。一緒に活動しませんか?
代表理事 伊藤 朋子

~各事業・プロジェクトの報告~
【災害復興支援事業】 (担当理事 谷永、谷本)

私たちが現在、活動協力を行っている宮城県気仙沼市のNPO法人、「海べの森をつくろう会」(以下、同会) の活動に、今後どのように寄り添い、復興のお手伝いができるかを調査するために、6月下旬、現地に出張してきましたので、まずその報告をします。
同会が運営のお手伝いをする話が進んでいる宮城県大崎市の「花見山」に行きました。ここには観光農園として利用できる果樹園が既に形成されており、植樹用の苗も育てられていました。311ネットが花見山の運営でどのような協力ができるかはまだ分かりませんが、同会の活動の拡がりを感じる機会となりました。その後、気仙沼に移動し、同会の理事会に参加しました。「今年度は他団体と連携しての植樹活動を行っていく、それと並行して防災教育にも力を入れていきたい」というお話しがありました。「復興のお手伝いをしてくださったボランティアの皆様への恩返しの意味も込め、被災した自分たちだからこそ伝えられることがある」と語るメンバーの方々がいらっしゃいました。防災教育という新たな目標を掲げた同会の皆様のお気持ちを受け止め、神奈川県内での講演会を今後企画していきたいと考えています。
image013次に、「気仙沼復興応援バス」の報告です。4、5月は中型バスを使い、苗の植替え作業等を行いました (昨年度私たちが植付けた種の発芽率がとても良かったとのことです)。6月は残念ながら最少催行人数に達せずにバスを出すことができませんでした。土地のかさ上げの進んでいる地区、まだ手付かずの地区があります。山が切り崩され宅地造成が進んでいる地区もあります。しかし、3年経っても多くの方が仮設住まいであることには変わりなく、巨大防潮堤の問題など、復興にはまだまだ時間がかかることが分かります。環境整備や植樹に向けてのお手伝いを通じて被災地に寄り添う活動を続けていきましょう。さらに被災地の方のお話を伺って、防災・減災について学びましょう。そのために神奈川から定期的にバスを出して行きたいと考えています。是非、夏休みを利用して気仙沼に行き、復興に向けたお手伝いをしてみませんか?
8月には、毎月月命日に行われている遺留品捜索活動のお手伝いに参加するために、8月10日(日) 出発便を計画しています。たくさんの皆さまのご参加をお待ちしております。
*「植樹祭」が10月12日(日)に予定されております。植樹祭に合わせてバスを出す計画を立てています。どうぞご予定ください。

【災害教育・防災教育事業】 (担当理事 石田)

image017災害教育・防災教育事業では、今年度も若者を対象にした活動を続けていきます。
今年度最初のイベントは、県内で被災地の支援活動をしている高校生・大学生の活動報告会『かながわ発U-22被災地行ってきました。』を、6月8日 (日) にかながわ県民センターで開催しました。
今回、活動報告をしたのは、前回に引き続きNPO法人ハマトラ・横浜フットボールネットワーク、神奈川大学ボランティア駅伝、浅野高校サッカー部の3団体に加え、今回初めての参加となった311ネットの気仙沼行「海べの森」復興応援バスに参加した高校生、福島についての勉強会を企画運営してきたRily Vellの、合計5団体となりました。
image019普段は別々に活動している若者たちが一堂に会し活動報告をすることで、自分の活動を振り返るきっかけになりました。後半は参加者の皆さまと一緒に、「あなたの周りは安全ですか」というテーマでグループディスカッションを行いました。発表者がファシリテーターとして各グループに入り、身の回りで不安なことは何か、それを解決するにはどうしたらよいかを書き出し、「自助」「共助」「公助」に振り分けました。発表者の学生たちからは、「自助の大切さがわかった」「高校生から大人まで幅広い方の意見を聞けて新鮮だった」「被災地で感じたことを伝える場として、参加できてよかった」などの感想がありました。次回は11月に開催予定です。詳細は、Facebookをご覧ください。

5月10日 (土) には、平楽中学校で防災ワークショップDIG (災害想像ゲーム) を行いました。普段は大きな地図で行うDIGですが、同中学の学区の地図を使い、A4サイズで家に持ち帰れるようにしました。自分が暮らす地域の特徴を知ることで、自分の命を守るにはどうしたらよいのか、危険地域にいる人をどうしたら助けられるか、などを具体的にイメージすることができました。また、当日は同中学の地区の消防士の話も伺いました。南区は木造家屋密集地帯で、火災の危険度・家屋の倒壊の予測が横浜市内でワースト1位2位であること、細い道が多くて消防車が入っていけない場所が多くあるとのことです。阪神淡路大震災の映像や、耐震実験映像などを交えての2時間のワークショップに時間を忘れ集中して取り組む中学生の姿はとても印象的で、若い世代が防災について考える意義をあらためて感じました。特にA4サイズのDIGは今後、広めていきたいと考えています。詳細はHPをご覧ください。
また、5月16日 (金) には、「海べの森」復興応援バスに参加してくれた静岡県立富士宮東高校3年生3名が、学年集会でボランティア活動報告をするというので、同校を訪問してきました。静岡県は災害に対する取り組みが熱心だと耳にしていた通り、先生方の意識も高く、地域と学校とが一体となって訓練を実施するなど、大変参考になるお話を校長先生からも伺うことができました。
今年度は、これまで災害ボランティアの関係者が取り組んでいたDIGなどの教材を、より若い世代に、お子様をお持ちのお母様に、地域の皆さまに提供していきたいと思っています。

【災害情報活用事業】 (担当理事 伊藤)

災害情報活用事業では、5月、6月と、「かながわ災害救援ボランティア活動支援室」の利用団体の有志を対象にして、広報、情報発信の勉強会を2度開催しました。311ネットが行っている広報の事例をお話しし、情報発信のコツ、ホームページツールの特徴、広報する対象の考え方、などを考える機会としていただきました。
311ネットは、他団体との連携を深め、情報を収集するために、関東ICT推進NPO連絡協議会 に加盟しました。神奈川県が呼びかけている「ICTを活用した災害ボランティア情報収集・交換に関する研究会」にも準備段階から参画しており、今後も積極的に関わっていく予定です。また、10月から始まるコミカレ講座の準備も進めています。
image021ホームページお助け隊事業は、KDDIが提供しているjimdo(ジンドゥー)という、無料で簡単に使えるソフトで、被災地で活動している団体や商店、グループなどのホームページ作成を手助けしています。ホームページは名刺代わり。情報発信の大きな柱です。今季は、「大槌ありがとうロックフェスティバル」花巻ママハウス のホームページ新設の支援の他、以前から支援を行っている団体からの更新・相談への対応など、地道な活動を続けています。「海べの森」復興応援バスの活動協力先である、NPO法人「海ベの森をつくろう会」のホームページ移転は完了しましたが、忙しくてなかなか更新の対応ができないという現地の事情があります。今後、これをどのようにサポートしていくか、先方と相談をしているところです。

【産業復興支援事業】 (担当理事 米田)

産業復興支援事業では、被災地の産業復興を加速するために、被災地の食材の定期的な紹介と購入を企画しています。昨年度から継続して実施し、好評を得ている「復興キッチン」については、隔月での開催を基本に、参加者の幅を広げるべく、場所や内容に幅を持たせていきます。
6月1日 (日) にフォーラム南太田で実施した「復興キッチンVol.6~復興キッチンリターン・東北の食に親しむ~」では、会場のつくりを生かして、調理中心の教室スタイルで実施。残念ながら今年は、鰹の水揚げが全国的に遅れたため、初鰹はこの日に間に合いませんでしたが、地元では定番のメカジキの刺し身を中心に、震災後初出荷となったホヤ、陸前高田の新鮮野菜、ばばばパスタ等を27名の参加者の
皆さまに味わっていただきました。詳細は、HPに掲載している報告をご参照ください。
image0237月19日 (土) 開催の「復興キッチンVol.7」では、岩手、宮城、福島の3県の日本酒呑み比べを中心に、東北のおつまみとお酒を心ゆくまで味わうという内容となっており、このように、幅広い層に興味を持っていただけるようチーム一同、工夫をこらしています。9月以降の企画についてもご期待ください。また、チームメンバーとして、復興キッチンの企画、当日運営をお手伝いしてくださるスタッフを募集していますので、どうぞこちらにもご参加ください。
さて、昨年末に実施した「贈答品フェア」に関連した動きとしては、今後は、重点を贈答品から日常の食材購入に移すことにします。安定した販路を持たない中小事業者の商品や、生産が回復したにもかかわらず従来の販路への出荷が思い通りにいかないといった食材を中心に、「1年中安定して購入を続けることが可能な企画」として準備中です。現在、現地団体等と情報交換を行っていますが、皆さまから「これが美味しかった」「こんな商品があるけれど困っているらしい」といった情報があれば、是非ともメールでお寄せください (fukkokitchen@gmail.com)。どうぞよろしくお願いいたします。

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