2013年7月27日、28日の2日間、大槌ありがとうロックフェスティバル(通称ありフェス)が、開催されました。前日金曜日の夜に出発し、翌月曜日の朝に帰着するバスで応援に行きました。
●開催の背景には……
震災から2年経ち、今大槌町では、瓦礫を片付けた後に残っていた建物の土台の撤去など、盛土に向けての作業が始まり、家があった痕跡、町の痕跡までが消えようとしています。仮建築で営業を始めていた店舗も移転を迫られています。
地元の方々は先の見えない中で日々と向き合っている状況です。
震災直後、いろいろな形で行われてきた緊急雇用や助成金も一区切りの時期を迎えたこともあり、それぞれに苦しい思いを抱えています。亡くなられた方の三回忌を済ませ、立ち上がれる方もいれば、気力が続かなくなる方もいらっしゃると聞いています。
阪神淡路の経験者からは「3年目が一番先が見えなくて苦しかった」と言う話を聞きました。今回、盛土が必要な地区では、復興までの行程は3年よりももっと長引くことが決まっています。大槌はそういう事情を抱えています。

そんな中での、大槌ありがとうロックフェスティバル。
大槌の人々が、震災以降、支援をしてくれた全国、そして世界の方々へ音楽で「ありがとう」と伝えるためのフェスティバルです。
開催場所、開催方法、機材や参加者への連絡調整など、現地では様々な準備が行われてきました。寄付も昨年より集まりにくくなり、復旧工事との調整もあり、苦労の連続だったと聞いていました。
でも、今年のフェスティバル開催が最終決定する前から、私達かながわ311ネットワークはバスの準備を進めてきました。
●豪雨の中のフェス(1日目)
私たちは、応援バスを企画しながら、復興キッチンの会場での募金活動、グッズの事前販売、広報などの応援活動を行い、当日を迎えました。今回の参加者はリーダー含め17名。
今年、関東は7月6日という早い梅雨明けでしたが、東北はまだ雨が続き、梅雨のまっただ中。前線も訪れ、前日の金曜日には大雨のため釜石線が不通となる中、バスは雨の中を進み、大槌町へ向かいました。
遠野経由で、おらが大槌復興食堂に7時過ぎに到着し、まずは朝食。食堂では、地元の高校生チームが、ロックフェスのためにひっつみ汁の仕込みをやっていました(この高校生達は、ロックフェス会場でも大活躍でした)。
先日復興キッチンで横浜を訪ねてくれたAssistSANRIKUの高橋さんのチームも浜焼きやトウモロコシで出店しています。


前日のテント立て等の準備には、神奈川から別途駆けつけた仲間達が協力。私達は、2日間の駐車場警備と2日目の「ありがとうの花火」の警備が仕事です。
ところが、土曜日は開会の頃から雷も鳴る土砂降りの1日となってしまいました。そしてなんと夕方には大雨洪水警報が発令され、17時頃プログラム途中で中止となってしまったのです。残念……。
翌日の花火開催が案じられます。この日は浪板交流促進センターに、男女部屋に別れて宿泊です。
●太陽が微笑んだ!徐々に快晴に(2日目)
翌日曜日、2日目の朝は、前日同様おらが大槌復興食堂で美味しい朝食をいただき、まずは、大槌町役場跡を訪ねお線香を手向けました。
この場所は一部保存が決まったと聞いています。どのような形での保存となるのでしょうか。


ありフェス会場に着くと、タイミングを合わせたように土砂降り!大雨洪水警報も発令されています。
天候を案じながら準備を始めると、みんなの気持ちが通じたのか、なんとどんどんお天気が良くなってきました。
前日登場できなかったアーティストのプログラムも折り込みながら、どんどん会場は盛り上がっていきます。

ロックフェスではありますが、合間には安度大神楽や上京鹿子踊り、陸中弁天虎舞などの郷土芸能も披露されます。


雲ひとつ無い青空となったありフェス、日中の駐車場整理の仕事は比較的余裕がありました。
日曜日には、全国レベルで活動しているロックバンドが次々登場します。


さて、夜となり。
私達、かながわ311ネットワークチームは花火の立ち居入り禁止区域の警備です。
今回の花火の打ち上げ会場はありフェス会場ステージのすぐ後ろ。エリアの縁に沿って散らばり、警備に当たりました。立ち入り禁止区域に人が立ち入らないようにするのが私達の仕事です。車両の誘導をすることになった部署では、大忙しでした。

主催者からの挨拶の後は、いよいよ花火の打ち上げです。
その日の昼まで、開催が危ぶまれていた花火が、晴れた夜空に見事に打ち上がりました。
この花火は、大槌町民からの寄付だけを資金に行われました。5月末から7月まで、毎週、町内のドラッグストア薬王堂の前に実行委員会のメンバーが立ち、続けてきた「ありがとう花火」募金。総額¥623,593となり、目標の50万を遥かに上回る結果となったそうです!
応援組の私達にとってもひとしお感慨深い花火でした。

花火の終了と共に警備は終了、最後の演目まで楽しんだ後、記念写真をとり、主催者側の担当者からの丁寧なお礼に送られて出発です。

無事に花火があがったことが何よりもうれしかった、大槌ありがとうロックフェスティバル応援バスでした。
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今回の応援バスは助成金も見込めず、去年(かながわ東日本大震災ボランティアステーション時代に)使った無料の宿泊所「きらりベース」はすでに宿泊施設としての役目を終え、今は無いという状況の中、それでもどうしても大槌の方々を応援したくて企画したバスでした。
それでも、神田交通さん、九鬼ツーリストさんのご協力を得て応援バスを出すことができました。
参加してくださった皆さん、準備に協力してくださった皆さん、広報に協力してくださった皆さん、本当にありがとうございました。