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 2016年6月24日(金)、逗子市の沼間小学校地区避難所運営委員会の研修依頼を受け、「HUG(Hinanjyo Unei Game=避難所運営ゲーム)」のワークショップ行いました。
HUGは、避難所運営ゲームの頭文字を取ってはいますが、その意味は「HUGする=抱きしめる」に由来しており、避難者を優しく受け止める、という意味もこめられています。

 前回の「DIG(Disaster Imagination Game=災害想像ゲーム)」研修に続いて2回目の研修です。全部で4班編成(1班6~7名程度)というやや多めの人数での開催となりました。参加者の方は沼間小学校地区避難所運営委員会のメンバーの方を中心に、近隣都市の小学校の方、お寺の住職の方、そして、行政の方や消防の方も見学に来てくださり、防災意識の高さを感じました。

 この日は通常のHUGのキット(掲示板用模造紙、学校見取り図、ゲームカード)の他に、沼間小学校の防災倉庫にある備品リストが用意されました。少しでも現実に近いスタイルでのゲーム体験を、という意気込みが感じられます。避難所運営委員会の皆さんはそれぞれ担当が分かれており、担当以外のことは通常の訓練では行わないそうです。各班を、それぞれ1つの避難所に見立て、独自のルールで避難所運営をシュミレーションしていただきました。

 まず最初は、ロールプレイです。15件分の避難者と発生する問題などに対応して、その避難所運営の独自ルールを決めます。「こうしてください」という指示は、ほぼありません。皆さん試行錯誤しながら、15件のロールプレイを通してルールを決めます。初めて体験する担当外の作業。そして、独自ルールでの避難所運営が机上でスタートしました。

 避難者と課題の総数は、250件程です。それを40分で体験します。実際の避難所の雰囲気を味わっていただくため、ゲームの進行には、かながわ311ネットワーク防災教育ファシリテーター養成講座を受講したスタッフたちが各班に加わりナビゲートしていきます。

0624沼間HUG①
 ゲーム時間は、40分。その間にどんどん押し寄せる様々な事情を抱えた避難者たち。
旅行中に高速道路で被災した外国人の一団、近隣に住む外国人、介護が必要な高齢のご家族、バスツアー中に被災した日本人の団体、両親を失い近所の人に連れられてきた子ども、乳幼児を抱えた家族、単身者世帯、病人、心の病にかかった人、ペットを連れて避難してきた人、酸素ボンベを持っている人、テントを持っている人、車での生活を希望している人等々、これらの条件が、さまざまに絡み合い、個人の個性となった被災者が続々と避難所へ押し寄せてきます。
それはもう、待ったなしの嵐のような状態。
とたんに避難所はパニックになります。瞬時にそれらに対応して行かなければなりません。円滑なコミュニケーションと、分業ができるかが一つのカギになります。

0624沼間HUG②
 わたしが担当したチームには、防災用品の管理等を担当している人が参加していました。避難者のほかに続々と持ち込まれる案件を、時系列に並べて書きだし対応、未対応の部分はあとで判るように、他の皆さんと相談して対応していました。最初に配られた防災倉庫にある備品リストもしっかり活用され、そこにあるものと外から入ってきた支援物資との連携も、しっかり取れていました。人優先、次に運営に関わる案件といった段取りがしっかりできていたように思います。日ごろの意識がどう差を見せるのか、他でのHUGを経験している分よく判る素晴らしい連携プレーでした。それでも、ひと段落したころには「本当にこんな風にどんどん人が来るんですか?」「これはもっと日ごろから考えておかなければいけない」などという意見が聞かれ、臨場感のある訓練を体験していくことの大切さを改めて実感しました。

0624沼間HUG③ 0624沼間HUG④

 避難所運営に正解はありません。
その正解のない問題を皆で考え、そして解決し続けて行かなければならない。それが避難所を運営するということである。そのことを、しっかりと皆さんが肌で理解してくださった時間になったのではないかと思いました。

 40分後に、各班で振り返りの時間を設けました。班によって全く違った運営スタイルが取られていたのが、興味深かったです。「困ったところ」「工夫点」という2点を発表して頂きましたが、意外なことに介護士や助産師など専門性のある避難者それぞれに役割をお願いしていたことを、「工夫点」とした班がほぼいなかったことに、ちょっと驚きました。それだけ「できる人がやる」という意識が皆さんに浸透しているあらわれである一方で、訓練を日ごろせずに、そんな意識もないとしたら、その可能性は活かされないという怖さも同時に感じる瞬間でもありました。わたしたちにとっても、いい気づきとなりました。

 HUGは、やるメンバーが違うと全く違ったものになります。何回もやればうまくなるといものではなく、正解があるというものでもありません。そのときそのときで、人が違うとこれだけ違ってくるのだということを、運営に回る可能性があるすべての人にお届けできたら、より意義があるものになるのだろうなと思った研修でした。

文章:防災教育チーム 水口美惠子

■講座概要■
日時:2016年6月24日(金) 19:00~21:00
会場:逗子市立沼間小学校
参加者:28名(避難所運営委員会+α)
講師:石田真実
サポート:防災教育ファシリテーター 小峰道晴 角川京子 西川哲 水口美惠子 森田清 矢嶋恵子
     【エリア】いずみ野、茅ヶ崎 横須賀、鎌倉、葉山